国際交流講演会報告

 中部支部では、平成17年9月16日(金)に、ニューヨーク州立大学アルバニー校地理・計画学科教授のRay Bromley博士をお招きし、(財)名古屋都市センターとの共催にて、国際交流講演会を開催した。演題は、「Back to the Future?: 米国都市計画150年の歴史から」である。ここに、講演の概要を簡単に紹介したい。

米国の都市計画史を振り返ると、そこには米国の現代都市計画にも通じる論点が数多くある。現在都市計画のポジションを知り、プランニングという専門文化や意思決定機構におけるパワーバランスがどのようにかたちづくられ、その現代的帰結を知る意味でも歴史に学ぶことは大切である。

19世紀から始まる米国の都市計画は、公衆衛生、セトルメント運動、田園都市など英国の都市計画の影響を受けてきた。その後、環境主義が芽生え、国立公園の設置などの自然保護、が始まり、都市美運動やパークシステムが展開され、郊外でも造園計画をともなった住宅地開発が行われた。一方で、都市の貧困問題がクローズアップされ、社会改革派の取組みが盛んになる。戦後は州間高速道路網が整備されて郊外化が一層進むとともに、都市高速整備に伴う都市再開発はコミュニティ・地域経済・ヒューマンスケールな都市空間を毀損させる。郊外の排他的ゾーニングによる中産階級の囲い込みは、都市の荒廃地域を拡大させ、高層の社会住宅整備も貧困の集中をもたらして失敗に終わる。一連の再開発事業は社会的批判をうけ、1970年代の歴史的環境保全やコミュニティ開発の法制度の整備に発展していく。プランニングにおける民主主義と官僚主義、デベロッパー(市場主義)とコミュニティ、政府とNGOとのパワーバランスに変化を与える契機となった。今日のニューアバニズムとは、「再開発の時代」の失敗に対する都市デザイン的対応であるともいえる。

 講演会の様子

(文責:福島 茂/名城大)