インクルーシブなまちづくり

都市計画308号
21世紀初頭のトーキョー Ⅱ
―世界都市トーキョーにおける都市計画制度の役割

 汐留や品川駅東口の旧国鉄操車場跡地は,1980年代の中曽根民活の一環として創設された再開発地区計画の 適用により,2000年代前半には東京の新しい業務集積地に変貌した。また,2000年代前半の小泉都市再生と並 行して,大手町・丸の内・有楽町ではオフィスの更新や増床が加速し,国際的なビジネス拠点としての機能強化が進 行している。さらに渋谷駅周辺では,都市再生特別地区を適用した都市開発と連動して,100年に一度とも言われる 抜本的大改造が始動したところである。

 再開発地区計画や都市再生特別地区などに代表される都市計画規制の緩和制度の充実により,21世紀初頭 (2000年~2014年)は民間デベロッパーによる都市開発が活発化した時期といえる。本号は,前号に引き続き21 世紀初頭の東京を特集したものであるが,前号では「エリア化する都市開発と暮らし」に着目したのに対し,本号で は,世界都市“トーキョー”にダイナミックな都市開発をもたらしている都市計画制度に着目する。

 規制緩和=経済合理性の追求という構図により,都市計画の観点からは規制緩和の功罪について多くが語られ てこなかったように思われるが,本号では改めて,都市計画制度を都市政策の要として捉え,都市計画規制の緩和 制度が充実した背景に迫るとともに,経済,都市,交通,防災の各方面から,世界都市トーキョーにおける都市計画 制度の役割を議論する。

(担当編集委員:安西崇博)

特集目次

トーキョーの都市政策:都市計画規制の緩和の背景とねらい

人口密度から見た21世紀初頭の東京都区部
 出口 敦・宋 俊煥
都市計画規制の緩和制度の系譜と東京の構造変化
 明石 達生
首都東京における都市づくりの大転換
 河島 均
都市再生本部等の取組
 内閣官房地域活性化統合事務局

トーキョーにおける都市計画制度の役割

経済学からみた都市計画規制 -規制緩和がもたらすメリット
 唐渡 広志
不動産収益の変化と土地利用転換 -動態的土地利用規制のすすめ
 清水 千弘
「グローバル化」・規制緩和と「エリア化」・マネジメント
 小林 重敬
容積率規制の緩和と交通計画 -戦略的交通アセスメントのすすめ
 森本 章倫
巨大都市の災害リスク -災害リスクを回避する都市計画制度や技術
 廣井 悠
【鼎談】 21世紀初頭の東京の都市計画の役割と今後の展望
 中井 検裕×安井 順一×出口 敦

プロジェクトノート

臨海部と都心を結ぶまち「汐留」-貨物ターミナル跡地から東京の新しい貌へ
 三宮 隆
六本木・虎ノ門・新橋地区の街づくり -街を創り、街を育む
 太田 慶太
日本橋室町東地区開発計画 -残しながら、蘇らせながら、創っていく
 有田 鎮
始動 渋谷の抜本的大改造 -都市再生特別地区を活用したまちづくり
 奥木 卓司
編集後記
 安西 崇博