福島の復興まちづくり

都市計画311号
福島の復興まちづくり

 東日本大震災のすぐ後に立ち上げられた国の復興会議で,福島は他の県とは異なるとして当初扱わない方針であっ たが,委員の意見によって福島の復興も検討に加えられた経緯がある。同様に多くの学会で福島の復興に取り組む 状況は遅れていた。2012年度弘前の研究発表会のワークショップを東北支部が開催するにあたって,発表者を公募 方式としたところ,すべて福島県内の研究者の投稿という状況であった。そこでの発言などを踏まえて,2012年度中 に福島原発事故復興部会(第5部会)が立ち上がり,福島の研究者を中心に部会で検討が始まった。2013年度東京 の研究発表会のワークショップで,第5部会の中間発表が行われ,活発な議論が交わされた。

 今回の特集は,学会合同の出版企画の一部で第5部会の原稿編集作業が別途並行して進んでいるなかで,本号に ついて検討する編集委員会に部会からも参加し議論をいただいたうえで,より広範な観点から編まれている。

 福島からの県外避難者は4.5万人といわれ,県内避難者8万人ともどもどのように戻ってくるかを見通せないまま, 町外コミュニティの整備など,市町村ごとにできることを精一杯実施している。岩手,宮城両県と比べて,福島の復興 はこれからがまさに正念場であり,この時宜を得た特集号が,関係する皆様へ届くことによって,今後の福島の復興 にあたって,計画内容のさらなる改善などに,少しでもつながっていただければ幸いである。

また,福島の復興にこれから関わる方々に,全体的な問題点などの整理・把握と,今後の展望に少しでも役立ち, 困難な復興実現に立ち向かう気持ちを持っていただける手助けになることを願っている。

(担当編集委員:相羽 康郎)

特集目次

原発事故後の対応と課題

福島の実情と復興への視点
 鈴木 浩

原子力発電所事故からの復興・再生に向けた取組
 佐藤 弘之
生活再建と法制度上の課題
 塩谷 弘康
放射線対策と課題
 秋光 信佳
福島で納得して生活できるために-健康の視点から
 熊谷 敦史

各自治体の復興に向けた動き

復興まちづくりに向けた市町村の取り組み
 福島原発事故復興部会
ふるさとから切り離された地でのネットワーク・コミュニティづくりの試み-浪江町民と市民組織の活動-
 佐藤 滋
田村市都路町における対応と復興に向けた住環境整備構想
 出口 敦
復興にむけたいわき市の現状
 齊藤 充弘
“よそのまち”での復興計画~大熊町の復興に携わって~
 中村 元則
仮設住宅に入居する避難者の今後の住まい選択の研究
-東日本大震災後の福島県内のログハウス仮設住宅団地を対象とした考察-
 浦部 智義・芳賀沼 整・滑田 崇志
過疎型スマートコミュニティ-今日の福島と未来の日本のために
 佐藤 理夫

原発事故後のまちづくり

居住と営農をめぐる規制と解除と地域再生の条件
 林 薫平
除染・復興政策の問題点と課題-福島原発事故から3年半が経った今
 川﨑 興太
中間貯蔵施設の設置に関わる交通の諸問題
 吉田 樹
居住地再配置の計画論-福島沿岸部のニュービレッジの提案
 相羽 康郎
【参考資料】原発事故後、3年6か月間における福島県の経過
 福島原発事故復興部会
編集後記
 相羽 康郎