ランキング

都市計画313号
都市の評価とランキング

 さまざまな主体が,さまざまな方法で,都市の評価やランキングを行っている。

 与えられた空間に対して何らかの評価を行い,それらを順位付け(ランキング)するという行為は,従来は,住環境評価のように比較的狭域の空間を対象としたものや,国全体としての国際競争力ランキングのように広域空間を対象としたものが中心であった。これに対し,近年,都市単位でのさまざまな評価指標づくりや,それを用いたランキングが,公的機関・民間機関を問わず数多く行われるようになってきた。

 評価のための指標づくりや評価行為自体の役割をこれまで主に担ってきたのは行政などの公的機関であり,その結果は,都市計画・環境政策・関連事業等の基礎情報となると共に,今後の計画目標を与えるために主に活用されてきた。我が国の「環境モデル都市」や「環境未来都市」は,その最たるものと言えよう。

 一方,民間機関等による多様な観点からの都市のランキングも近年数多く行われるようになった。そこでは,国際競争力,環境,健康,福祉,安心,安全,観光,創造性,文化など,評価の中心に据える軸も多岐にわたっており,それらの結果が政策に活用されたり,ランキングの結果を自治体が広報活動に利用する場面も多くなっている。

 また,評価指標の中身も近年多様化している。従来主に用いられてきた客観的に計測可能な指標に加え,例えば,ソーシャル・キャピタル関連の主観的指標なども新たに開発され,政策評価で活用されつつある。このように,都市を評価する主体,評価項目,ランキング結果の活用方法などは近年極めて多様化している。

 評価やランキングという行為は,都市や地域間の適正な競争を促すと共に,個々の都市や地域の課題を抽出し,その個性を伸ばすことを本来企図しているはずである。しかし,現在のように評価やランキングが乱立し混沌とした状況は,そのような本来目指すべき方向に沿ったものと言えるのだろうか?

 本特集は,以上のような問題意識のもとで,都市の評価やランキングの現状を俯瞰・整理した上で,評価方法やランキングの結果が実際の都市政策にどのように反映されていくべきかについての議論の契機となることを目指して企画されたものである。

(担当編集委員:福田 大輔)

特集目次

総論

都市の評価とランキングのレビュー
 亀谷 淳平・木下 隼斗・桐山 弘有助・壇辻 貴生・野地 美里・増山 和大
過剰評価の時代に -持続可能性評価指標の持続可能性から考える
 谷口 守
環境都市にむけての評価論の展開
 藤田 壮・ドン ホイジュアン
都市のサステナビリティ評価の再考-都市縮退の時代におけるサステナビリティ評価の課題
 吉中 美保子

都市の評価とランキングの最新動向

欧州グリーン首都賞-その役割,評価基準および政策的合意
 ヘンリック グッドムッドソン
フランスの都市評価の取組み-エコカルティエからエコラベルへの進展-
 西村 愛
21世紀型の住環境の評価-様々な多様化をともなう住環境評価
 真鍋 陸太郎
都市における生物多様性指標による評価
 中村 孝
公衆衛生の観点から見た都市の評価:健康とその格差、そして社会関係の重要性に着目して
 近藤 尚己

PwCの都市力評価指標
 野田 由美子

世界の創造的都市とその評価指標
 後藤 和子

都市の評価とランキングの意義と課題

サステイナブル都市評価指標と「自治体への貢献性」
-イタリアと日本における自治体の意識・行動への影響に着目して
 市川 嘉一
都市政策のPDCAサイクルにおける都市生活指標の利活用
 福本 潤也
[インタビュー]サステイナブルな都市創造のための「評価」とは?
 村上 周三
編集後記
 福田 大輔