ミレニアルズ

都市計画326号
ミレニアルズと都市

 いつの時代も新しい世代は新しい価値観を世の中にもたらす存在である。遡れば「団塊世代」や「新人類」,「ロスジェネ」,近年は「さとり世代」など,そうした世代はしばしば括られ,時に揶揄されて呼ばれたりもしてきた。米国でも,現在10代前半から30代半ばの「ミレニアル世代」は"デジタルネイティブ"として育ち,コミュニティや人間関係を重視し,物の所有に重きを置かない傾向にあるなど,基本的な価値観がそれまでの世代とは異なると指摘されている。今の日本の同じ世代も,こうした傾向に通じるところは多いと考えられよう。

 価値観は日常の消費行動や交通行動の選択,居住地の選択,そして職業や働き方の選択に至るまで,人の日々の生活や人生のさまざまな選択に影響する。それらはひいては都市や社会のありように影響を及ぼすだろう。では,都市と社会の望ましいあり方の探求と実践に携わる私たちは,ミレニアル世代的な新しい価値観と選択をどのように受け止めたらよいだろうか。

 この特集では,超少子高齢・人口減少社会を迎えたわが国で,次の時代を担う世代,人口を再生産する(はずの)世代を中心に現れつつある新しい価値観や選択の諸相を概観するとともに,都市やその計画への含意を展望することを主たる目的としている。

 また,そのような若い価値観を持つ世代の担い手による都市づくり・まちづくりはすでにいろいろな地域で見られるようになっている。本特集のもう1つの目的として,こうした実践の萌芽についても扱いたい。

(担当編集:高見 淳史)

特集目次

導入

特集「ミレニアルズと都市」の視点を俯瞰する
 高見 淳史

人口学から見るミレニアル世代
 大江 守之

21世紀のユース・サブカルチャーズ
 難波 功士
データで見る現代若者の価値観・暮らし・消費
-NRI「生活者1万人アンケート調査」時系列変化と第7回(2015 年)調査のポイント
 松下 東子

ミレニアルズの生き方・働き方と都市

働くこと,家庭をもつこと-生活環境の不安定化と保守化
 筒井 淳也

ローカル志向と都市・地域社会
 松永 桂子

大都市で働く若者の地方への移住意向-首都圏でのアンケート調査結果から読み取れること
 張 峻屹

ミレニアルズの住まいと都市

若い世代の住まいの状況をどう読むか
 平山 洋介

若い世代が「住みたい」街とは
-SUUMO住みたい街ランキングから見る「ミレニアル世代」の住みたい街・その理由
 池本 洋一

ミレニアルズの行動と都市

日本における若者のメディア利用行動はどう変わってきたか
 北村 智

つながりを求める若者と都市-ソーシャルメディア,サードプレイスと都市の隠れ家の関係を考える
 小笠原 伸

若者の交通行動はどう変化してきたのか-移動回数の減少と車離れ,その実態と背景
 原田 昇

若い世代の都市づくり・まちづくりの萌芽と潮流

ストリート・ブレイカーズによる「若者の街・柏」形成の歩み
 五十嵐 泰正

想いをカタチにするクリエイティブビレッジ
 金田 康孝

戦略的な使いこなしからデザインする都市の豊かなシーン
-豊田市「あそべるとよたプロジェクト」の事例から
 園田 聡, 岸本 しおり

町家体験ゲストハウス「ほんまちの家」を通じた若い世代のまちづくり
-歴史的市街地の再生を目指して~富山県高岡市~
 加納 亮介
まちづくりの常識を覆す「地方創生イノベーター」
-ミレニアル世代の革新者たちが,地域というフィールドで0 から1を生み出す
 谷中 修吾

ミレニアルズ・アーバニストへの期待
 出口 敦

編集後記
 高見 淳史