物流

都市計画328号
モノの流れから都市を見る

 物流危機に関する報道が続いている。Eコマースの拡大や物流ニーズの多様化などを背景に「再配達削減に向けた取り組み」や「宅配総量の削減」といったニュースを目にする機会が増加した。こうした報道においては,働き方改革の実現が日本社会の喫緊のテーマとなる中,物流の問題も労働力不足や就業体系の改善などの文脈から語られることが多い。しかし,効率的な物流の実現には,物流施設の立地や市街地における物流マネジメントなど都市の構造や土地利用などまちづくりの視点からの対応も不可欠である。

 また,物流の課題そのものにも大きな変化が生じている。人口減少社会を踏まえた「地域を支える持続可能な物流ネットワークの維持」や東日本大震災や熊本地震を契機とした「災害時における物流システムの構築」など新しい課題への対応のほか,これまで取り組んできた市街地における物流対策についても,建築物の大型化や歩行者優先のまちづくりなどを背景に新たなマネジメントが求められている。

  こうした物流を取り巻く課題や状況の変化を踏まえ,今号は「モノの流れから都市をみる」を特集テーマとし,今日的な視点から今後の物流とまちづくりのあり方について考えることとした。

 本特集は3つのパートから構成される。第1パート「モノの流れの理解」において,これまでの物流対策の変遷やモノの流れの現状分析がされた後,第2パート「都市の課題から見たモノの流れ」において,中心市街地の物流マネジメント,買い物弱者対策,グリーンロジスティックス,災害時の物流など個別の課題に対する最新の知見や対応が論じられている。さらに第3パート「モノの流れを支える取り組み」では,前2パートを踏まえモノの流れを扱う様々な現場における具体的なプロジェクトや取組が紹介されている。

(担当編集:桂 健太郎)

特集目次

モノの流れの理解

日本における都市物流政策の変遷と将来
 苦瀬 博仁

流通イノベーションが求めるロジスティクス高度化
 根本 敏則

「モノの流れ」のデータからみた都市の課題
-第5回東京都市圏物資流動調査からわかった都市の課題を中心として
 萩野 保克

円滑な「モノの流れ」を支える政策
 国土交通省 総合政策局 物流政策課

都市の課題からみたモノの流れ

ビッグデータを用いた小型貨物車集中地区の抽出方法の検討
-東京都市圏物資流動調査データを用いて
 小早川 悟

「モノの流れ」を支えるアーキテクチャと土地利用:物流と大規模建築物・土地利用の真の連携に向けて
 大沢 昌玄

過疎地域での物流サービスの展開
 矢野 裕児

災害時の「モノ」の流れの確保-熊本地震での現地調査を踏まえて
 大門 創・岩尾 詠一郎・間島 隆博・荒谷 太郎

グリーンロジスティクスの最新事情と今後の展望-静脈物流最前線
 鈴木 邦成

モノの流れを支える取組み

地元主体の荷さばき集約化への取組み-新宿東口荷さばき集約化プロジェクト
 鈴木 雄

物流施設用地の確保について-市街化調整区域の活用や農地転用
 竹林 桂太朗

過疎地域の貨客混載「ホイホイ便」による地域内物流網形成への期待
-村営バスによる宅配物の共同配送がもたらす「小さな拠点」再生の可能性
 牧 幸洋・白石 悦二・吉武 哲信

地域インフラの維持に向けた物流事業者としての取組
 弘内 泰樹

ふじのくに戦略物流ビジョン後期計画の推進
-生産から消費までのモノの流れの視点による新産業の創出と地域経済の活性化
 本橋 夏生

改正物流総合効率化法を活用したモーダルシフトの展開-特別積合せ貨物運送事業者3社による共同輸送
 籾山 和也

幕張新都心を中核とした「近未来技術実証・多文化都市」の構築-先端技術を活用したドローンによる宅配サービス
 武元 俊輔

編集後記
 桂 健太郎