刊行

都市計画338号
都市計画法50 年・100 年記念特集号

 日本都市計画学会は都市計画法旧法制定100年,新法制定50年を記念し,「都市計画法50年・100年企画特別委員会」を組織し,さまざまな記念事業を企画・実施してきた。記念事業は,計画理念の変遷及び都市計画遺産の検証,蓄積された情報の整理と新たな教材・データベースなどの提供,シンポジウムなどを通じた学会内外に向けた都市計画への関心の喚起と理解の深化に主眼を置いている。

 本特集ではそれらの記念事業を,わが国の都市計画と都市計画法の歴史との関わりからいくつかの時間スケールと着眼点で整理し,以下のように構成した。

・「旧法から始まる都市計画の一世紀」を「都市計画Who's Who」や「新しい都市計画教材」などから俯瞰する

・「新法制定からの半世紀」を「記念連続サロン」での証言や「記念シンポジウム」の討論などから検証する

・「都市計画法改正が繰り返された四半世紀」を規制緩和や制度運用の経緯・社会的要請などから振り返る

・「都市計画法のもと実現し,具現化してきた空間」を省みつつ,新たなまちづくり活動を含め将来を展望する

 本特集が,これまで都市計画学会誌の特集やシンポジウムなどで議論されてきた都市計画法の課題や現状を再検討し,その課題を解決する手がかりとなり,さらに都市計画学会の社会的役割や,今後の抜本的な改正あるいは法運用に向けた,私たち学会員の立ち位置を示唆する契機となれば幸いである。

(編集担当:篠沢 健太)

目次

地図の中の風景

富山市都市開発基本計画(1966年)
 小出 和郎


支部トピックス


特集:都市計画法50 年・100 年記念特集号

【巻頭言】

都市計画のこれまでとこれから
 森本 章倫

【解題】

都市計画法50 年・100 年記念特集号の編集にあたって
 篠沢 健太

【都市計画の一世紀を俯瞰する】

建築系都市計画の観点からの「都市計画法」100 年の都市計画史 ―学術活動と法制度の創設・改正との関係に着目して
 中島 直人

フィジカル・プランニングとして顧みる都市計画100年 ―「問題意識」と「データに基づく現況把握と将来推計」による都市空間へのアプローチ
 大沢 昌玄

都市計画史における造園・ランドスケープ ―都市計画学会誌特集にみる旧法100 年/新法50 年の都市計画とランドスケープ
 篠沢 健太

国際的に見たわが国「1919 年都市計画法体制」 ―都市計画地方委員会における都市計画技術をめぐって
 渡辺 俊一

【新都市計画法の半世紀を検証する】

我が国の都市計画の光と影
 黒川 洸

都市交通と都市開発:100 年間の歩みの光と影
 矢島 隆

土地利用制度の光と影
 柳沢 厚

ニュータウン開発の光と影
 川手 昭二

日独比較からみた現代都市計画の光と影
 大村 謙二郎

都市計画学会草創期の会長について
 伊藤 滋

社会システムとしての都市計画と土地利用制度 ―「都市計画法50 年・100 年記念シンポジウム第1弾」の報告
 桑田 仁・内海 麻利

都市交通計画の変遷と「都市計画法」
 原田 昇・藤原 章正

【都市計画法改正の四半世紀を振り返る】

「都市計画法」改正の25年 ―規制緩和と制度運用
 鈴木 毅

造園・ランドスケープにおける「都市計画法」改正 ―都市の農地に関する一連の制度改正等について
 梛野 良明

「都市計画制度を構想する」:10年後のレビュー
 小泉 秀樹・藤井さやか

熟成期における包摂と支援の生活圏を共創する計画制度
 大方 潤一郎+グループ2019

【都市計画の空間への具現化】

「アーバニズム・プレイス展2018」という場の創出
 中島 直人

Great Public Places since 1919 ―広場と都市計画の歴史
 中野 卓・杉崎 和久

Shinjuku Public Place Chronicle ―55 HIROBAと新宿の広場史
 永野 真義・湯澤 晶子

Place Making Exhibition ―都市デザイン手法としてのプレイスメイキング
 園田 聡・長谷川 隆三

【編集後記】

「原点」であり,「論点」である都市計画法の基本理念と目的
 出口 敦


書籍探訪・新刊レビュー|総務・企画委員会


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