刊行

都市計画344号
シェアからコラボラティブへ:
都市における共有/ 協働

 シェアリング・エコノミーに代表される,プラットフォームを介して平行につながりあうpeer to peerの試みは,経済的取引だけでなく空間共有の側面からも都市のありかたに影響を与え始めている。もちろん社会生活は個人で完結するわけではないため,元来,生活そのものに「共有=シェア」というシステムは組み込まれているものであるが,土地所有の近代的枠組み,都市部への人口集中の流れと産業構造の変化から共同体は弱体化し,生活における伝統的な共有システムは都市で解体された。よって,近年のシェアの拡大は,都市化の中であらゆる側面が私的化する「プライバタイゼーション」に伴って個別化した社会生活を,プラットフォームの形成によって接続し直したものであるといえる。

 その基盤の上で成立するのは,「状態としての共有」を超えて,私的化した社会生活間の「コラボレーション」であるべきだと考える。したがって,現代的共有のありかたとして,シェアからコラボラティブへの流れをつかみ,所有や社会生活の個別化を超え,一度解体された共有を接続し,現代的社会課題をどのように都市内で解決していくことができるのかを考えるのが本特集の目的である。その上で,現在のシェアリングの流れを,コラボラティブな社会設計に昇華して行くにはどうしたらよいかを示していきたい。

(編集担当:内田 奈芳美)

特集目次

特別インタビュー

都市の共有空間とシェア
 槇 文彦

巻頭対談

シェアリングを通した,都市におけるコラボラティブなシステムづくり
 坂村 健×中村 文彦

都市におけるシェアからコラボラティブへの論点

〈解題〉現代的シェアによるコラボラティブ社会への接続
 内田 奈芳美

コラボラティブな都市の変化を育むしくみ   
 小浦 久子

都市におけるシェアからコラボラティブへの論点─ケイパビリティの視点から
 早田 宰

社会生活の中のシェアとコラボラティブな関係

現代都市の個別化した生活様式─P2Pプラットフォームとシェアリングエコノミーの行方
 南後 由和

脱近代のための新たな住宅型─境界・家事・エネルギー・土壌
 能作 文徳

ニュータウンとローカルシェア─千葉海浜ニュータウン シェアスタイルタウン構想
 鈴木 雅之

オフィスから「まち」へ─知識創造の時代における協働の舞台としての都市空間
 山村 崇

移動におけるコラボラティブ・システム

次世代交通に求められるコラボラティブ
 吉田 樹

地方都市における地域交通を育てる「協働」の課題と展望
 村上 早紀子

地域の持続力を高める協働・共有型モビリティシステム─大都市郊外地域への展開を見据えて
 有吉 亮

観光・地域資源とコラボラティブ・エコノミー

観光がもたらすコラボラティブ・エコノミーの可能性
 阿部 大輔

大田区における特区民泊,住宅宿泊事業への取り組み
 伊藤 弘之

共益的地域事業のデザインと多主体協働プラットフォームの構築
─福井県永平寺町における地域資源の再価値化とまちづくりへの適用
 有賀 隆・笹森 達也・矢野 有香子

コラボラティブな共有空間とは

公園を育てるコラボレーション─アーバンピクニックの事例から
 村上 豪英

都市の“スキマ” に生まれた地域とのコラボレーション拠点
─「中央線高架下プロジェクト」を事例として   
 籾山 真人

小さな空間をコラボラティブ化する
 尾崎 信

資料

都市空間に影響するシェアリング・エコノミーの流れ

コラボラティブなシェアリング社会の未来像(イラスト:林匡 宏)

【編集後記】コラボラティブな共有がもたらす「その後」
 内田 奈芳美