中部支部長 挨拶

中部支部長 秀島栄三

支部創設35年-持続可能性を高める中部のまちづくり

 公益社団法人日本都市計画学会は、都市計画及び地方計画に関する科学技術の研究発展を図るために1951(昭和26)年に設立され、現在に至るまで70余年の歴史を持つ学会です。中部支部は、本学会の初めての支部として1990(平成2)年に設立され、活動範囲は北陸地方(富山県・石川県・福井県)と東海地方(岐阜県・静岡県・愛知県・三重県)という首都圏と近畿圏にはさまれた広大な圏域に及びます。日本海側と太平洋側、そして内陸側を包括し、多様な風土・歴史・経済・社会条件を持つ個性豊かな都市群から構成されていることが特徴的であり、都市計画の解は唯一とならないことを物語っています。

 2020(令和2)年度には支部設立30周年を迎え、様々な行事の開催とともに『変革社会に対応する新しい都市像 −動き始めた「コンパクト・プラス・ネットワーク」型都市への取り組み−』(中日出版)を刊行しました。そして、この地域では、2024(令和6)年1月1日に能登半島地震が発生し、多くの被災者、家屋、道路の損壊が生じ、今もなお仮設住宅が残るなど復興の道筋はきわめて厳しいものとなっています。中部支部は学会本部とともにどのように対応していくべきか、被災地の行政、関係者と連携しながら情報と知恵を共有するなど活動を続けています。

 2025(令和7)年は支部創設35周年を迎えます。支部がここまで来たことは大変喜ばしいことであり、また中部地域は経済面でとても安定的にみえます。しかしながら南海トラフ巨大地震、激甚化する豪雨など災害リスクに対するなお一層の強靱化が求められ、代替可能エネルギーへの転換、脱炭素化の推進など環境面での持続可能性も問われています。そして人口減少による担い手不足、高齢化によって地域コミュニティの存続可能性が危ぶまれています。これらの問題は相互に関係するものであり、そのことがもたらす社会的な危機の様相が能登半島地震によって顕在化したと云えます。

 支部創設35年を迎える今、これらの問題を真正面に捉え、支部として問題の明確化、検証、対応方針に通じる提言、発信を行っていきたいと考えています。これまで続いてきた3つの小委員会もこれらに応えていきますし、こうした中でいま改めて認識されることは、都市計画は生活や活動空間の創造や改良を総合的、分野横断的に取り組まなければならないということです。支部もまたコミュニティであり、異なる考え、専門性を持つ主体間のコミュニケーションが大切であり、そしてそれが活動へと繋がり、成果を出していくというプロセスが重要と考えています。

 様々な支部活動を通じて会員のみならず広く地域社会に成果を還元できるよう尽くす所存です。中部支部の活動をより活性化させていくために皆様のご協力とご指導をいただきたくよろしくお願い申し上げます。

中部支部長 秀島栄三