企画調査委員会

名著探訪

改訂都市計画

谷口成之

コロナ社/1961年

 本誌は「都市計画」の授業のテキストである。著者は谷口成之先生(元日本都市計画学会名誉会員・東海大学),初版は昭和36年5月5日,定価2700円,総ページ数407ページの大作である。本著は今から56年前の都市計画の力作ともいえよう。都市計画法は大正8年公布されて以来,本著が出版されてしばらくした昭和43年新しく公布された。今回ご紹介する改訂版は昭和52年の第20版ではその新法に示されている内容を詳細に説明しようとするものである。ここでは,その内容の目次を示すことにより振り返ってみると非常に興味深い。そこで,まず,本著の目次をここに示す。
 第1章 総論・第2章 都市の発達史・第3章 都市計画史および都市計画の現状・第4章 都市の構成論・第5章 都市計画の基礎的調査・第6章 都市計画区域・第7章 土地の利用計画と地域制・第8章 都市交通計画概要・第9章 交通計画(街路)・第10章 交通計画(交通広場,その他の広場)・第11章 交通計画(高速道路)・第12章 交通計画(駐車場,バスターミナル,トラックターミナル)・第13章 交通計画(路面交通機関)・第14章 交通計画(鉄道と都市高速鉄道)・第15章 交通計画(水路)・第16章 交通計画(空港)・第17章 公園および緑地・第18章 一団地の官公庁施設・第19章 公共施設・第20章 田園都市と衛星都市・第21章 住宅問題・第22章 都市計画事業・第23章 都市計画の法制・第24章 都市計画財源・第25章 地方計画および国土計画の総論・第26章 自由主義諸国の地方計画および国土計画・第27章 統制主義諸国の国土計画と地方計画・第28章 わが国の地方計画および国土計画
 以上のように本著は多岐にわたる内容となっており,当時,私たちに都市計画の多くの側面を学ばせていただいた。交通計画についてもかなり詳細に説明され,比較的土木工学関係の学生への配慮もなされており,知識として十分なものを与えてくれている。本著はその当時では最新の都市計画情報が盛り込まれていた。50年たった今でも十分に参考書として我々都市計画関係の仕事をする者にとって有効な書ということがいえよう。今回,都市計画関係の書の紹介ということでもう一度,本書を見直す機会ができ大変感慨深い気持ちになったことをご報告したい。

紹介:近畿大学工学部教授 高井広行

(都市計画314号 2015年4月25日発行)

一覧へ戻る