編集委員会

Committee

委員長挨拶

編集委員長 就任あいさつ

松行 美帆子(横浜国立大学 教授)

このたび、学会誌『都市計画』の編集委員長を拝命いたしました。歴代の委員長ならびに編集委員の皆様が築いてこられた学会誌の伝統と信頼を引き継ぐことに、身の引き締まる思いです。

前委員長の佐々木邦明先生が示されたように、学会誌には、学会と会員、そして学会と社会とを結ぶ双方向のチャンネルとしての役割があります。都市計画に関する学術的知見と実践的経験を共有する場であると同時に、研究者、実務者、行政、民間、地域といった多様な立場の会員をつなぎ、都市計画をめぐる議論を社会へと開いていくための重要な媒体でもあります。
小泉会長が就任挨拶で指摘されているとおり、都市計画はいま、近代都市計画の成立期以来ともいわれる大きな社会的転換の真っただ中にあります。人口減少・少子高齢化、自然災害の激甚化、気候変動、社会的包摂、デジタル技術の進展、ウェルビーイングへの関心の高まりなど、都市計画が向き合うべき課題は複雑化し、相互に深く関わり合っています。こうした時代においては、既に確立された知見や実践を共有するだけでなく、これからの都市計画が何を問い、どのような視点を獲得していくべきかを考えることが、ますます重要になっていると感じています。

そこで、これからの学会誌『都市計画』では、現在の都市計画が直面する課題を丁寧に捉えるとともに、半歩先、一歩先の都市計画を考えるための特集を企画していけたらと考えています。都市や地域の変化は、しばしば現場で先に感じ取られ、その後に制度や理論、研究の言語として整理されていくものです。まだ十分に言語化されていない課題、今後重要性を増すであろう視点、なじみのあるテーマを捉え直す新しい考え方----そうした「芽」を紙面に取り上げ、会員の皆様と議論を深めていく場にできればと思います。

また、そのためには、既存の都市計画の枠組みの中だけで議論を閉じるのではなく、より広い分野や主体の知見を重ね合わせることが必要だと思います。都市計画はもとより学際的な領域であり、今までも建築、土木、造園などの隣接領域と長く連携を重ねてきました。学会誌においては、さらに、医療・福祉、情報科学、生態学、経済学、芸術といった関連分野の視点や方法を取り入れ、融合させることで、都市計画における新しい視点や考え方を創っていく一助になりたいと考えています。

同時に、これからの都市計画を考えるうえでは、研究者や専門家だけでなく、自治体、民間、NPO、地域の実践者、中堅・ベテランだけではなく若手の研究者・実務者など、多様な主体の知見を重ね合わせることも不可欠です。現場で生まれつつある課題意識や実践の中にこそ、次の都市計画を考える手がかりが含まれていることも少なくありません。学会誌の特集においても、異なる分野や立場からの視点を同じ紙面に置くことで、都市計画の議論の幅を広げ、新たな連携や実践につながるきっかけをつくっていきたいと考えています。

学会誌は、編集委員会だけでつくるものではなく、会員の皆様のご寄稿、ご提案、ご意見によって成り立つものです。読まれて終わる学会誌ではなく、読者の刺激となり、新たな議論や実践へとつながる学会誌を目指して、編集委員の皆様とともに取り組んでまいります。
会員の皆様には、今後とも学会誌『都市計画』への積極的なご参加とご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

(2026年7月31日公開)