企画調査委員会
都市計画中央審議会答申集
財団法人都市計画協会/1981年
中央省庁再編によって建設省,運輸省,国土庁,北海道開発庁の4 省庁が1 つになり国土交通省が誕生したのは2001 年1 月のことだから,それから20 年以上経ったことになる。実はこの時,中央省庁の審議会も整理統合が行われた。国土交通省関係では,建設省に置かれていた河川,道路,都市計画などに関する審議会は社会資本整備審議会に,運輸省に置かれていた運輸政策審議会その他の審議会は交通政策審議会と運輸審議会に,国土庁と北海道開発庁に置かれていた審議会は国土審議会にという具合だ。
現在,都市計画関係では,社会資本整備審議会が大臣の諮問に応じて都市計画に関する重要事項を調査審議することとされている。審議会の再編前は「都市計画中央審議会」がその役割を担っていた。この都市計画中央審議会とは,1968 年に制定された新都市計画法に基づき新たに設置された審議会である。
前置きが長くなったが,ここで取り上げた書籍は都市計画中央審議会が1968 年から1980 年までの間に行った19 の答申(中間答申を含む。)を収録したものである。都市計画法の施行は1969 年6 月だったが,都市計画中央審議会に係る規定は法公布の日(1968 年6 月15 日)から施行され,審議が進められた。諮問第1 号は「市街化区域及び市街化調整区域の設定並びに市街化区域の整備の方策について」であり,1968 年7 月の第1 回審議会で諮問,同年11 月の第3 回審議会で答申第1 号が行われ,新都市計画法で新たに導入された区域区分に基づく制度運用の基本的事項が示された。法の全面施行後も,計画的な市街地の整備,都市交通施設の計画及び整備,下水道整備,公園緑地等の整備などについて,昭和40 年代に相次いで諮問・答申がなされた。新都市計画法施行当時の都市計画行政に関心がある方は是非目を通していただきたく思う。国立国会図書館デジタルコレクションとして公開されており,利用者登録すれば自宅から閲覧可能であることを申し添える。なお,都市計画中央審議会が2001 年1 月に廃止されるまでに行った全答申は,2002 年に国土交通省によって同じタイトルの答申集にまとめられている。
紹介:日本大学教授 中村英夫
(都市計画364号 2023年9月15日発行)