学会案内

会長就任あいさつ

横張 真 Makoto Yokohari

 

 この度、会員の皆様のご推挙により、公益社団法人日本都市計画学会の会長に選出されました。歴代会長はじめ先輩諸兄が築いてこられた伝統の上に立ち、本学会のより一層の発展に微力を尽くす所存です。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 都市計画は今、大きな転換期をむかえています。人口減少と超高齢化を背景とした都市の縮退・コンパクト化、民間活力によるまちづくり、地球環境変動への適応等、ひと昔前には言葉すら聞かれることのなかった事象が、今や都市計画の本流になろうとしています。そうした転換の渦中にあって、本学会もまた、都市計画にかかわる学術団体としての60余年の伝統を継承しつつも、活動の方向性を再考すべき時期をむかえているものと思料します。私は、そうした局面にある本学会の活動の今後の方向性を考える上で、以下の3点を指摘したいと思います。

 第一は、産官民学の別なく、とくに若手会員に、実質的な活躍の機会を設けることです。恒常的に続いてきた会員数の減少は、ここにきてやや下げ止まりの傾向にあります。しかし、若手会員の比率は年々減少しています。これは、とくに本学会の将来を展望した際には、看過できない大きな問題です。

 本学会はこれまでにも、学生会員の会費値下げや入会手続きの簡素化等、様々な対策を講じ、一定の成果をおさめてきました。しかし自身の過去を振り返り、なぜ自分が都市計画にかかわる専門を志向したのかを思い返すと、都市という空間を舞台に、なにかを「つくる」ことに携わりたいという動機が、その根底にあったことに気づきます。これまで本学会は、学会を舞台に新しいなにかをつくる喜びを得る機会を、若手会員に十分に提供してきたでしょうか。若手が伸び伸びと「つくる」ことができる機会を用意することこそ、若手会員をめぐる問題に対する本質的な解決策のひとつなのではないか。こうした認識のもと、本学会の様々な活動のなかで、若手会員が「つくる」楽しみを享受できる機会を考えていきたいと思います。

 第二は、我々の研究・活動領域を、都市からその郊外、農村地域へと拡大することです。全国6支部を通じた地方部での活動の活性化は、若手会員対策と並ぶ、本学会の重点課題のひとつです。わが国の都市の多くは元来、空間・社会の両面で農村を内包してきました。そうした特徴は現代の都市においても認められ、地方部に行くほど顕著な傾向として見て取れます。都市計画といえども、都市だけを切り出して議論することは、わが国の都市を対象とした場合、必ずしも適切なアプローチとは言えません。むしろ農村を含む広域的な圏域のなかで、都市を相対化してとらえる視点が必要です。そうした視点は、都市が縮退する時代にあっては、大都市圏の将来を考える上でも必須でしょう。環境共生や資源の有効利用、大規模災害への備えといった今日的課題に対処する上でも有効と考えます。

 第三は、本学会が直面している様々な課題に通底する問題として、学術団体さらには学術そのものの社会的な意義および位置づけの変化と、そうした状況への対応があげられます。わが国では、都市計画のような応用的な分野にあっても、学術がその基礎をなすとの認識のもと、学術団体の社会的意義が認められてきました。しかし、世界に目を転じれば、実務色の強い団体が分野の母体をなし、学術はそうした団体の一分科会と位置づけられているケースも見られます。さらに、近年の情報技術の飛躍的発展等を背景に、学術の大衆化が進んだ結果、かつてはポピュリズムと揶揄されたかもしれない研究のあり方が、むしろスタンダードになりつつあるのも世界的な傾向でしょう。本学会の活動の将来を考える際にも、こうした学術や学術団体をめぐる新たな社会動向をとらえ、それに柔軟に対応した方向付けが必要と考えます。

 老舗は、過去に拘泥することなく変革を恐れなかったからこそ、長く暖簾を守ることができたと言います。本学会が、これからもわが国における都市計画分野の学と術のプラットホームであり続けるために、上記3点の認識を基軸に、皆様にとってさらに魅力的な情報交流の場となるべく、微力を尽くしてまいります。皆様からも、是非、様々なアイデアやご提案、ご意見を頂戴したいと思います。学会運営へのご協力を、何卒よろしくお願いいたします。


(平成28年5月24日 公開)

学会案内