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会長就任あいさつ

出口 敦 Atsushi Deguchi
東京大学大学院新領域創成科学研究科 副研究科長・教授

deguchi.jpgこのたび、日本都市計画学会会長の重責を理事会のみなさまのご推挙を頂き、務めさせて頂くことになりました。伝統ある学会の運営を仰せつかるには、まことに微力でございますが、会員の方々のご助言、ご協力をあおぎながら責務を全うしてゆく所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

私事ではありますが、平成25~28年度にかけて常務理事・編集委員長として、直近の2年間は久保田尚前会長のもとで副会長として本学会の運営に携わらせて頂きました。特に、この2年間は都市計画法制定から50年・100年の節目の時期にあたり、わが国の都市計画法を基軸とする制度や仕組み、先人の方々の業績を振り返り、またその実績の上にこれからの都市計画が目指すべき方向性や課題について、共に学ばせて頂き、これからの学会の取組について多くのご示唆も頂きました。

一方、今日の世界各地の都市が直面している最も大きな問題を考えますと、まずWithコロナに対応した都市生活や都市社会のあり方といった課題への対応が真っ先に上がってくると思います。3密の状態をつくり出さないことやソーシャルディスタンシングへの配慮が求められており、同時にライフスタイルの変化と共に都市のあり方を大きく変えていくのではないかとも言われています。

具体的には施設や公共空間内、電車やバスなどの移動空間内の密度を低密度で利用することが求められ、時差利用などによる利用者の分散や、混雑度をデータ化、見える化し、あるいは予測して、限られた空間の賢い使い方を誘導するデータ駆動型による対応法が考えられます。サイバー空間の中で、地域社会の人の動きや自分自身の行動をリアルタイムで見えるようにして自分自身で考えて行動変容を起こしていくことになり、国が提唱しているサイバー空間とフィジカル空間の高度な融合を目指す"Society 5.0"の考え方がさらに実現に向かうものと思われます。

コロナ禍での経験は、様々な分野でデジタルトランスフォーメーションへの対応を一気に推し進めることが予想されます。本学会においても、この度、スマートシティ特別委員会を設置することとなりました。今日的テーマへの取組として、民間企業や行政機関の方々にもご協力頂きながら進めていく新たな学会活動に期待が寄せられているところです。

これまで、都市計画分野の仕事は、主として公園や道路等の都市施設の整備、区画整理や再開発、緑地等の保全のための計画や制度・仕組みづくりを担って参りました。その成果は空から見ることができ、地図に残る仕事を担ってきたわけです。ただ、これからの都市計画分野の仕事は、フィジカル空間の地図に残る仕事に加え、サイバー空間を活用し進化させていく取組が付与され、いわばサイバー空間に新たな地図をつくる仕事を担うことになるのだと思います。

学会は、大所高所から「都市」を議論する場であると共に、具体的・実践的な課題への対応を議論する場でもあります。スマートシティやポストコロナをめぐるテーマの議論に関しても、これまでのわが国の学術的蓄積や都市計画の実績を踏まえながら、都市の将来ビジョンや都市計画の役割に関わる思考の深化に寄与して参りたいと考えております。

また、学会としての更なる国際化への対応、国の政策や地方自治体のまちづくりへの学術面からの支援、人材育成への貢献、都市計画コンサルタント協会をはじめとする関連団体や他学会、他分野との社会連携についてもより一層の取組を進めて参りたいと思います。

以上、申し上げましたこれらの取組やテーマは、一つ一つが独立した課題への対応に見えますが、本学会が存在することにより、一つの文脈でつなぎ合わせていくことができるものと考えております。学術団体としての社会的役割を強く認識し、役員の方々、各支部、事務局の方々のお力をお借りしながら本学会の発展に寄与していけるよう微力を尽くす所存です。

末筆ながら、会員の皆さま、ならびに都市計画に関係するすべての方々に、本学会の活動と運営へのご協力のお願いをいたしまして、着任の挨拶に代えさせて頂きたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

(2020年6月15日公開)

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