学会案内

会長就任あいさつ

久保田 尚  Hisashi Kubota

 

 この度、伝統ある日本都市計画学会会長という重責を、会員の皆様のご推挙により務めさせて頂くこととなりました。本学会のより一層の発展のため、微力を尽くす所存です。なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 いまからちょうど50年前の昭和43年に、新しい都市計画法が成立しました。当時のデータを見ますと、大都市への人口流入の凄まじさに改めて驚かされます。よく言われるように、昭和43年の都市計画法は、こうした状況を踏まえ、開発に少しでも秩序を取り戻そうとする意図が明白だったと言えます。と同時に、押し寄せて来る人口増とそれに伴う乱開発に押し切られまいと、あらゆる関係者が必死に足を踏ん張り、土地利用規制、各種都市施設、そして市街地開発に取り組まれた時代だったのではないかと思います。

 一方、現在および近未来に指摘されている都市問題は、決して「押し寄せて来る」という実感を伴っていません。むしろ、「静かに引いていく」という感じの方が合っているかもしれません。少しずつ、しかし確実に、問題の深刻さが顕在化しつつあるというのが多くの関係者の実感ではないでしょうか。こうした種類の問題は、認識の共有が困難で、どこにどのように力を加えるべきかもわかりにくく、それゆえに、対策の合意形成にも大きな困難を伴います。

 こうした状況を踏まえると、本学会に求められる役割も、新たな時代の要請に応えるべく、変革すべきものを変革すべき時期を迎えていると考えざるを得ません。

 このような背景を踏まえ、私としては、主に次のような点を重視して学会の運営に携わっていきたいと考えております。

 第一に、都市計画の多様化への対応です。従来のいわゆる法定都市計画の役割は今後も非常に重要であることは言うまでもありませんが、同時に、今後の都市の動向を考えたとき、法定外の、例えばまちづくりと言われるような分野の重要性もさらに大きくなることが容易に想定されます。そのため、本学会にも、さらに多様な人材が関わって頂くことが欠かせないと思います。従いまして、今後の学会活動を、これまでよりさらに拡げ、まちづくり、農業、IT、教育、医療、福祉、等、様々な分野との連携を密にしていきたいと思います。さらに、活動の発信においては、一般市民や、さらには高校や中学の学生・生徒までも視野に入れ、将来的な連携も模索していきたいと思います。

 第二は、ここ数年取り組んできた、学会における実務者の活躍の場の拡大です。産官民学の、特に若手に、より多く会員として活躍して頂くことは、学会そのものの持続可能性に大きくかかわる大きな課題です。これまでも、都市計画協会、都市計画コンサルタント協会および都市計画家協会との密接な連携により、認定都市プランナー、ejob、実務発表会など、様々な事業を展開してまいりました。さらに、今年度から、従来の学術研究論文発表会を「全国大会」としてリニューアルし、実務者の方にも積極的にご参加頂き交流して頂ける場と致します。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしています。

 第三として、学としての都市計画学のさらなる充実を挙げたいと思います。本学会の目線を、実務、さらには一般社会へと広げる一方で、アカデミックな側面についても改善の余地があると感じているためです。都市計画を専門とする研究者は、大学等の研究機関のなかで、他分野の研究者との競争、あるいは国際的な競争の渦中に身を置いています。その中で着実にステップアップできることが、学会の持続可能性に大きく影響してきます。学会として、どのような発表の場を用意すればその力になれるのか、ここ数年議論を重ね、一部の改訂を行って参りました。それを踏まえ、さらに学術論文システムの改訂を継続したいと考えています。

 今年が新都市計画法50周年、そして来年が旧都市計画法100年という節目となります。先人たちは、それぞれの時代に必要とされる都市計画に懸命に取り組んでこられました。現在および未来に生きるわれわれも、社会が都市計画に求めるものは何か、を常に念頭に置きながら、産官民学のあらゆる関係者が集い、交流し、議論し、そして協働できる場とすべく、微力を尽くしてまいります。

多様な皆様からの多様なご意見を頂戴するとともに、学会の運営に、より一層のご指導ご協力を頂きたいと思います。なにとぞよろしくお願いいたします。


(平成30年6月4日 公開)

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