編集委員会
Committee
学会誌案内
378号|特集:研究成果の評価・流通方法
学術研究の成果を,会員をはじめ広く社会に流通させるとともに,査読や編集等の過程を通して一定の品質評価をすることは,古来より学会の重要な機能の一つであった。近年では,情報通信技術の発展により,迅速な研究成果の発表・流通が可能になっていることは,研究成果の流通と活用への追い風となっている。他方で,研究者の評価において日本語の論文集への発表が相対的に低い評価を受ける傾向が広まるなど,日本語の論文集を発行する国内学会にとっては苦しい状況も生じている。
こうした背景を踏まえ,本特集では,都市計画分野における研究成果の評価・流通を取り巻く状況を総括するとともに,今後,どのように評価・流通方式をデザインする余地があるかを探求する。具体的には,学会内外の動向を専門家の寄稿を通して俯瞰するとともに,会員を取り巻く状況や課題認識を,アンケートや座談会から多面的に把握し,今後の議論に向けた端緒となることを目指す。
本特集ではまず,学会内外の専門家による寄稿により,本会以外の学会や他分野も含む,研究成果の評価流通に関する状況を示す。続いて,2025年8月に実施した本会の会員向けアンケート調査結果をもとに,研究成果の活用状況や,都市計画論文集の評価などに関する実態を示す。また,本会の委員長らによる座談会を通して,本会を取り巻く状況や,検討すべき課題について総括する。さらに,研究成果を活用する様々な現場や取組に関する寄稿などから,都市計画分野における研究成果が広く活用されている状況を紹介する。
(特集担当:藤垣 洋平)
目次
地図の中の風景
まちづくりにおけるユーザーエクスペリエンス(UX)デザイナーの役目
和田 憲司
支部トピックス
特集:研究成果の評価・流通方法
【研究成果の評価・流通を取り巻く状況と課題】
研究評価を取り巻く状況・課題と今後の可能性
日本学術会議若手アカデミー 地域活性化に向けた社会連携分科会
学術情報流通と研究評価の関係性─オープンサイエンスは社会や産業の関わる研究を救えるか?
船守 美穂
オープンサイエンスとプレプリントがもたらす研究成果流通の変革
小柴 等
土木学会海岸工学委員会における成果流通の変遷─国際競争力強化が引き起こす学会活動の課題
渡部 靖憲
韓国建築・都市系国内学会における「論文の国際化」の課題と展望
宋 俊煥
【アンケート・座談会による会員の状況把握と課題整理】
研究成果の評価や活用の実態に関する調査結果─日本都市計画学会 会員向けアンケートから
藤垣 洋平
日本都市計画学会を取り巻く研究成果の評価流通の現状と可能性─編集委員会・学術委員会・国際委員会の幹部座談会から
秋田 典子×大森 宣暁×佐々木 邦明×松行 美帆子
【都市計画分野における研究成果の広がりと活用】
都市計画論文集における閲覧数と被引用数に関する一考察
土屋 泰樹
行政からみた研究成果の活用に関する考察─「実務と研究の連携のための研究会」の成果の紹介
菊池 雅彦
学術知を実装する社会シミュレーション─防災,イベント,エリアマネジメントへの展開
北上 靖大
教育支援を通じた将来の都市計画を担う人材の確保
大沢 昌玄
日本都市計画学会の国際発信の取り組み
瀬田 史彦・志摩 憲寿
都市計画論文集の研究対象地を可視化する試み─CPIJアーカイブマップの紹介
相 尚寿
【編集後記】
佐々木 邦明・藤垣 洋平
書籍探訪・寄贈図書レビュー
わたしとあの街
シンガポール
遠藤 賢也