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332号|農のアーバニズムへのヒント

都市計画2015

 

安心・安全な食の確保,コミュニティの再生,新たな産業の育成,生物多様性保全や土壌保全,環境教育の機会提供など,「農」の効用は多岐にわたる。世界の都市でこうした農の効用が注目され,Urban AgricultureやUrban Food Policyの名のもとに,都市と農の共存に向けた取組みが展開されている。

 アジアの気候風土に根ざした豊かな農耕文化をもち,西洋の近代都市計画を輸入した日本では,明治以降の大都市への急激な人口流入の下で「農」と「都市化」とがせめぎ合い,両者の関係を複雑なものにしている。財産権と土地利用規制のバランスが前者に振れる中,都市と農とが共存するシステムは,構想されることはあれ実現には至っていない。近年の都市への人口流入の減少は大きな潮流の変化であり,新たな農ビジネスや農をきっかけとしたコミュニティ再生の萌芽は見られるものの,ニュータウンは空き家に悩まされる一方でミニ開発は止まらず,楽観的な将来の姿が見えてはいない。

 こうした状況下で,旧都市計画法から100年新都市計画法から50年を迎える今日,50年先を見据えた都市と農の関係への視座を示すことの意義は大きいだろう。農地と宅地が混在する土地利用は,欧米とは異なるかたちでの都市の拡大の帰結であり,これを持続可能なものとする上では,日本の実情にあった処方箋が必要であり,その実践は新たなアーバニズムとなるのではないだろうか。

 本特集では,今日の土地利用をもたらした諸要因がどのような状況にあるか,また,都市が農に求める価値がどのような場で,どのような主体により提供されているかを概括するとともに,将来の展望を示すことで,都市と農のこれからの姿を考えたい。

(担当編集委員:寺田 徹,野村 亘)

目次

地図の中の風景

フェラーリスの地図
 ジル ブルーノ シオン

支部トピックス


特集:農のアーバニズムへのヒント

【都市と農の過去と現在】

都市農業・農地の担い手をどう考えるか-農地制度の整理と展望
 安藤 光義

農地保全に関する都市計画制度
 髙山 泰

2022 年問題への農地所有者の対応-農業後継者の確保と特定生産緑地制度の選択
 星 勉

都市農地活用にかかるハウスメーカーの戦略
 大木 祐悟

産業の盛衰と農地転用-市街化調整区域の工業系開発の変遷を通して
 浅野 純一郎

地産地消の戦略的展開-米国カリフォルニア州のファーマーズマーケットを参考に-
 新開 章司

【座談会】

未知の世界へ向かう都市農業への挑戦-現場からの声
 佐藤 留美×白石 好孝×諸藤 貴志×横張 真

【都市と農のケーススタディ】

農の力で東京は世界一住みたい都市になる
 小野 淳

都市における植物工場の現状と今後の展開の可能性
 増田 昇

あだち農まちプロジェクト
 落合 正行

都市近郊農家は,どのように農地を残してきたか-JAの役割,及び生産緑地を残す上で所有者視点からみた課題
 星 勉

和歌山市における開発許可基準の厳格化を巡る経緯
 鈴木 豪

【座談会】

空間計画の未来-変化する農の空間を捉える計画へ
 秋田 典子×有賀 隆×古澤 達也×横張 真

【都市と農のこれから】

都市住民と農とをつなぐ中間支援組織-オープンなプラットフォームとして
 佐藤 留美

オーガニックシティー-都市に「農」をインストールする
 小泉 寛明

社会的公正を志向するニューヨークの都市農業
 寺田 徹

都市農地の保全と都市計画制度
 中井 検裕

都市と"農"の一体的計画
 村上 暁信

【編集後記】野村 亘


連載 立地適正化のプラン・メイキング

福山市立地適正化計画基本方針~地図で見るふくやまの現状と未来~
-「市場原理」を利用した都市のコンパクト化の実現に向けて-
 佐藤 展好


国際協力の都市計画

災害を通じた学び合い-東日本大震災と国際協力
 杉田 樹彦


書籍探訪・新刊レビュー|総務・企画委員会


学会ニュース


お詫びと訂正

「都市計画 332号」において、掲載内容に誤りがありました。著者ならびに読者、関係者の皆様にご迷惑をおかけ致しましたことをお詫び申し上げるとともに、以下のように訂正致します。

【P. 44 著者の所属】

誤)日本大学理工学部まちづくり工学科 助

正)日本大学理工学部まちづくり工学科 助

 

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