編集委員会

Committee

学会誌案内

368号|デジタルは都市・国土をどう変えるか

都市計画2015 技術の飛躍的進歩と,コロナ禍を契機とした各組織の変革の進行により,デジタル技術によって社会が大きく変革しつつある。都市計画・国土計画の分野もその例外ではない。まちづくり・都市計画のプロセスに関し「まちづくりのデジタル・トランスフォーメーション実現ビジョン」がまとめられているほか,計画情報の変革についての議論も進んでいる。他方,国土の変革として,第三次国土形成計画(全国計画)ではデジタル技術を活用した地域生活圏が構想されている。

 こうした状況の下,デジタル技術を活用した都市・国土計画のプロセスの改善や地域の課題解決が各地で模索されており,実用化事例も散見されるようになってきた。その内容も,データのデジタル化や個別の技術の導入のみではなく,都市計画・国土計画の在り方を大きく変化させるものも含まれる。

 もっとも,上記の多様な動きの全体像が広く理解されているとは言い難い。また,未来予想図のみでなく実現した事例を示し,個別の技術やツールの解説にとどまらず,都市・国土においてどのような導入が可能なのかを明らかにすることが求められる。本特集では,他分野の専門家の知見も踏まえながら,幅広い変化を総合的に俯瞰することを目指す。この目的に対応して,様々な変革の程度を含む議論を展開する。

 第一部「都市・国土がどう変わるのか」において,異分野からの視点を多く取り入れながら想定される変化を包括的に論じる。第二部「プランニングの変革」では計画情報の取得と活用から計画の策定に至るプロセスの変革を扱う。第三部「デジタルによる都市・国土の変化の到達点」では,実都市にデジタル技術が実装され既に形になっている事例を示す。

(特集担当:福田 崚・片山 健介・塙 洋介・外山 友里絵)

目次

地図の中の風景

数字と地図,言葉と絵
 饗庭 伸


支部トピックス


デジタルは都市・国土をどう変えるか

【第一部:都市・国土がどう変わるのか】

総括的議論

デジタルと協創による都市変革の可能性─都市計画の新たなフロンティアとアーキテクチャへ
 出口 敦

第三次国土形成計画(全国計画)における国土像─デジタル化の進展等を踏まえた新たな国土の姿
 片山 茜

異分野からの視点

デジタルで実現したい価値は何か,から考える
 安岡 美佳

XR/メタバースと都市計画─サイバースペースの進化が導く都市の未来
 稲見 昌彦

デジタルが変革する社会に対して,国土計画がどう対応するか
 冨山 和彦

データ駆動型スマートシティとそのプラットフォーム─都市のデータとその利活用,それを支える都市OS とデータ連携基盤
 越塚 登

デジタルテクノロジーで地域に変革をもたらすマネジメント─技術経営学の観点から捉える地域活性化事業
 平田 貞代

【第二部:プランニングの変革】

ビッグデータの利用

歴史ビッグデータ─歴史資料から機械可読データを構築するためのデータ構造化ワークフロー
 北本 朝展

都市交通計画におけるデジタル化─交通関連ビッグデータへの期待
 森尾 淳

オープンデータ化

札幌市におけるデータ利活用の取り組み─オープンデータ整備からデータ取引市場の開設,新たな官民連携モデルへの挑戦
 村田 仁

地理空間情報のオープンデータ化の動向と利活用推進の取組
 矢吹 周平

登記所備付地図データのオープンデータ化と今後の展望─登記所備付地図データ配信サービス
 株式会社NTT データ

住民参画

地理空間情報を介した市民参加と協働─デジタル・シチズンシップに向けて
 瀬戸 寿一

地域情報の集約からまちづくりへ
 真鍋 陸太郎

【第三部:都市・国土の変化の到達点】

XR・メタバースで拡張する都市の新しい体験価値の実現
 長田 新子

オルタナティヴデータで読み解くひととまち─ひとの想いとデザインを繋ぐアーバンテック
 安藤 邦明・国本 陸斗・佐野 祐士・井上 僚・清水 宏樹・冨岡 裕一郎

デジタルプラットフォームを用いたこれからの住民参加のあり方─小山市,札幌市宮の沢での取り組み事例を踏まえて
 東 宏一・三谷 繭子

地域経済分析システム(RESAS)とその活用─岡山県奈義町における政策立案過程を事例として
 北川 博史

デジタル最先端自治体の山口県美祢市のNFT・AI 実装と課題
 村井 宗明

デジタルツインによる社会インフラへの活用─VIRTUAL SHIZUOKA によるデジタルツインの構築と持続可能な社会の構築
 山崎 友寛

【編集後記】
 片山 健介・塙 洋介・福田 崚


書籍探訪・寄贈図書レビュー|企画調査委員会


わたしとあの街

ラブロ(イタリア)
 真田 純子


学会ニュース