防災特別委員会

Committee

総合調査団報告

東日本大震災 地域基盤再建総合調査団 第二次総合調査団 中間とりまとめ(案)

2011年5月 土木学会・日本都市計画学会共同派遣
全文PDF版は[こちら](5.74MB))

東日本大震災 第一次総合調査団 中間とりまとめ(案)

2011年4月 土木学会・日本都市計画学会・地盤工学会 東日本大震災 第一次総合調査団
全文PDF版は[こちら](2.95MB))

報告書構成

調査の目的

本調査は、下記1)~3)の目的を達成するための第一段階として、きわめて広域かつ多岐にわたる今次震災の被害状況とその内容・特徴を俯瞰的に把握し、今後のさらなる調査活動に反映させるために行ったものである。

  1. 1)今回の地震・津波の現象解明と諸被害の記録・分析
  2. 2)従来取り組んできた地震・津波対策の検証・評価、および今後予想される巨大災害への教訓と対策
  3. 3)被災地域の復興への技術的・学術的貢献

調査団の構成

阪田憲次(土木学会会長・岡山大学名誉教授)を団長、家田仁(東京大学教授)を副団長とし、以下のように調査対象別に三つの専門班を設けた(メンバーリストは巻末の別添資料-1を参照)。

総合構造物班 丸山久一班長
(長岡技術科学大学教授)
土木構造物(鉄道、道路、港湾施設、堤防、地盤)の
被害と復旧状況の調査を担当
ライフライン班 兵藤哲朗班長
(東京海洋大学教授)
交通・ライフラインシステム(道路、鉄道、バス、タクシー、港湾、空港、物流、電気、ガス、上下水道)の被害と復旧状況の調査を担当
地域・市街地班 糸井川栄一班長
(筑波大学教授)
市街地の被災状況とその全般的特徴の調査を担当

調査対象と行程

調査は2011年3月27日から4月6にかけて、のべ11日間行った。行程および調査対象は下記の通りである。

3月27日 訪問調査(東北地方整備局、JR仙台支社)
3月28日 空中視察(仙南地域~三陸地域南部)
被災地視察(常磐線沿線;新地~山元町山下)
3月29日 JR新幹線・在来線構造物被災状況視察
3月30日 訪問調査(仙台市交通局・建設局・水道局・環境局・ガス局、宮城県庁、東北電力、JR東日本本社)
3月31日 訪問調査(岩手県県土整備部、JR東日本盛岡支社、国土交通省鉄道局、国際興業)
4月1日 岩手県三陸沿岸被災地視察(田老~陸前高田:国土交通省本省調査団と合同)
石巻市街地被災状況踏査 仙台市内地盤崩落(折立地区・高野原地区・西花苑地区・緑ヶ丘地区)踏査
4月2日 空中視察(仙南地域~三陸地域南部)
市街地被災状況踏査(新地、山元、亘理、岩沼、名取、石巻、女川、南三陸) 訪問調査(岩手県県土整備部、国土交通省東北運輸局鉄道部)
4月3日 東北地方整備局長と意見交換 国土交通省本省調査団・JR東日本・NEXCO東日本との意見交換 JR新幹線・在来線構造物被災状況調査
市街地被災状況踏査(名取、仙台空港周辺、七来田川周辺)
4月4日 海上視察(仙台塩竈港、石巻港)
海岸・港湾構造物被災状況視察(相馬港、七ヶ浜、石巻、女川)
市街地被災状況踏査(石巻、女川、陸前高田、大船渡、釜石、大槌、陸中山田、宮古、田老)
4月5日 陸前高田市長・気仙沼市長・南三陸町長と会談
市街地被災状況踏査(陸前高田、気仙沼、南三陸)
仙台市内ライフライン調査(上下水道、ガス、廃棄物他)
訪問調査及び被災状況調査(仙台市交通局)
訪問調査(国土交通省東北運輸局自動車交通部)
4月6日 港湾被災状況調査(八戸港、久慈港)
市街地被災状況踏査(女川、石巻、東松島、普代、田野畑、田老、宮古)
構造物の津波による被災状況調査(本吉町、南三陸町、北上川下流域の橋梁)
空港被災状況調査(仙台空港)
ライフライン施設の被災状況調査(仙台市南蒲生浄化センター、仙台火力発電所)
4月11日 市街地被災状況調査(いわき市久の浜、広野)
港湾被災状況調査(小名浜港、日立港)

2 各種社会基盤施設の被災に関して

  • 2-1 現象の俯瞰的把握とその(暫定的)解釈
  • 2-1-1 地震動による影響
  1. (1)耐震技術、耐震補強技術が活かされたコンクリート構造物
  2. (2)復旧に時間を要した電化柱の破損
  3. (3)長時間継続した地震動による盛土の崩壊
  4. (4)砂地盤の液状化による施設被害の多発
  • 2-1-2 津波による影響
  1. (1)岩手県での津波による全体的な被災状況
  2. (2)巨大ケーソンも動いた海岸および港湾構造物の被害
  3. (3)列車を折曲げ、橋桁を押し流す津波の力
  4. (4)大きな津波には弱い盛土構造物
  5. (5)惨状を示す建築物(木造家屋、RC 造ビル等)
  • 2-2 今後の方向性と(暫定的)提言
  1. (1)海岸、港湾構造物の設計の考え方
  2. (2)盛土保護工の耐浸食性の評価
  3. (3)震災廃棄物、津波漂着物の処理
  4. (4)新幹線の電化柱の補強と復旧
  • 2-3 今後継続的に調査し研究を深度化すべき事項
  1. (1)橋梁構造物の津波被害の予測と防止策
  2. (2)防波堤の役割の評価

3 市街地・集落の津波被害に関して

  • 3-1 現象の俯瞰的把握とその(暫定的)解釈
  1. (1)様々な地形・歴史的経緯と多様な状況の被災地
  2. (2)一定の効果が認められた避難所対策
  3. (3)湾口防波堤には津波に対して一定の効果
  4. (4)東北地方整備局の被災自治体のニーズへの素早い対応
  • 3-2 今後の方向性と(暫定的)提言
  1. (1)ハード対策とソフト対策は車の両輪
  2. (2)被災状況・自然条件・歴史文化を考慮した再生の必要性
  3. (3)広域的な視点を考慮に入れた市街地の移転・用途変更の可能性の考慮
  4. (4)基礎調査の実施が不可欠
  5. (5)津波避難のための高台避難場所・津波避難ビルの指定
  6. (6)市街地火災からの広域避難場所等の再点検
  7. (7)支援チームの組織化の必要性
  • 3-3 今後継続的に調査し研究を深度化すべき事項
  1. (1)歴史的経緯を踏まえた市街地の特性と被災状況の関連性の調査
  2. (2)災害ヒト・モノ・コト総合アーカイブの構築
  3. (3)空間特性によって生じる避難渋滞の発生と意識の解凍の重要性

4 被災地におけるライフラインシステムの機能障害と復旧に関して

  • 4-1 現象の俯瞰的把握とその(暫定的)解釈
  1. (1)沿岸部交通システムの津波による機能障害と復旧
  2. (2)耐震性を発揮した内陸部交通システムと復旧過程
  3. (3)津波による大被害の下水道、短期間で復旧した上水道
  4. (4)広域に影響を与えた電力供給システムの被害状況と復旧
  5. (5)仙台都市ガス供給システムの被害状況と復旧
  • 4-2 今後の方向性と(暫定的)提言
  1. (1)交通システムの復旧プロセスと機能回復に向けて
  2. (2)上水道の耐震化と「つなぎ」技術が必要な下水道
  3. (3)代替性の高い電力・ガス供給システムの必要性と喫緊の電力需要管理方策の策定
  • 4-3 今後継続的に調査し研究を深度化すべき事項
  1. (1)まちづくりと連携したライフライン整備とリスク分散システムの確立

5 震災時の大都市の経済基盤・生活基盤の脆弱性に関して

  • 5-1 現象の俯瞰的把握とその(暫定的)解釈
  1. (1)仙台市への流通機能障害から得る知見
  2. (2)夏の需要量に満たない首都圏電力供給量
  • 5-2 今後の方向性と(暫定的)提言
  1. (1)災害に強い流通機能の確立に向けて
  2. (2)首都圏電力の需要管理方策について
  • 5-3 今後継続的に調査し研究を深度化すべき事項
  1. (1)広域災害の影響を最小化する頑強かつ柔軟なサプライチェーン構築方法

あとがき

~地域基盤の総合的フェイルセイフ化に向けて~ 第一次調査団 家田仁

添付資料-1 調査団メンバーリスト
添付資料-2 現場調査・訪問調査箇所リスト